吹き抜けとは?
そもそも吹き抜けとは何でしょうか?吹き抜けは、単純に天井が高いというだけではありません。1階から2階以上に渡って天井・床がなく2階段分が一続きになっている空間のことを指します。そのため1階と2階を吹き抜けでつながっている部屋の場合は、部屋の天井の高さが2階の部屋の天井高さと同じになるため、天井の高い開放的な空間となります。2階建ての戸建てでは玄関部分のみが吹き抜けとなっているのが主流でしたが、最近は戸建て、マンション問わずリビングが吹き抜けになっているデザインが増えています。
リビングを吹き抜けにするメリットは?
まず初めに、人気の吹き抜けをリビングに採用するメリットを見てみましょう。
1. 抜群の開放感
何と言っても吹き抜けの最大のメリットといえば、抜群の開放感と言えるのではないでしょうか。同じ6帖の部屋でも、天井の高さが違うだけで見え方や感じ方が変わります。天井が高いほど、広く感じるのです。そのため、吹き抜けにして天井が高くなることで、視覚的に開放感のある空間を生み出すことができます。吹き抜けは狭いリビングを広く見せ開放的にするためのテクニックとして用いられています。
2. 自然の照明と自然の換気
吹き抜けを作ることで、本来2階部分となる位置の壁に窓を設置することが出来たり、1階の天井が無い分、大きくて高さのある窓を設けたりすることが出来ます。そのことによって自然光が部屋に入りやすくなるため、部屋が明るくなります。天窓を設け、1階まで明かりを取り入れることも可能です。高い位置の窓は部屋の奥まで自然光を取り入れることもでき、自然の照明のおかげで長時間電気を付けずにすみます。夜空も楽しめるかもしれません。
また、1階部分と2階部分の高さの違う窓を設けることで、空気が下から上に流れるため、自然な換気が期待できます。自然の照明と自然の換気という吹き抜けによるメリットを最大限味わうためには、よく計算された窓の大きさや位置が重要です。
3. 家族の距離を近くする
リビングは大抵の場合、家の真ん中にあります。そのため、リビングが吹き抜けになっていることで1・2階の部屋のほとんどに繋がりを持たせることが出来ます。家族が家のどこにいるのかを把握できますし、1階から呼べば吹き抜けを通して、2階に声を届かせることも可能です。このメリットを活かして、リビングを望める2階吹き抜けそばに、書斎やスタディスペースを設けている家や、リビング階段を設置して、子供達が学校から帰ってきたらリビングで家族と顔を合わせられるようにしている家もあります。リビングを吹き抜けにすることで、家族が集まりやすくなった、会話が増えたと感じておられる方も少なくなく、家族の距離を近くしてくれる空間と言えます。
リビングを吹き抜けにするデメリット
次に、リビングを吹き抜けにすることで生じるデメリットを確認しましょう!
1. 冷暖房の効率の悪さ
床面積が同じでも、吹き抜けによって天井が高く容積が大きい部屋は、吹き抜けではない部屋に比べ、冷暖房の効きが悪くなります。そのため自動的に光熱費も高くなります。また冬の寒さは、吹き抜けを後悔した理由でよく耳にする意見のひとつです。実はメリットで触れた、空気の流れが残念ながらデメリットになっているのです。温かい空気は上へ流れるため、天井が高い吹き抜けのあるリビングでは部屋が温まるのに時間がかかり冬の寒さが辛いと感じてしまいます。反対に夏は、高い位置にある窓や天窓からの日差しが強く、部屋が暑くなりやすい傾向があり、冷房の効率が悪くなってしまいます。
2. 掃除やメンテナンスが大変で費用もかかる
新築時には気付き辛いデメリットとして掃除やメンテナンスが大変という点があります。高い位置にある窓の掃除や照明の交換は、自分では出来ず毎回業者を呼ばなければいけないかもしれません。大きな窓や高い位置の窓に合わせたカーテンやシェードは規格外なので、割高になってしまう傾向があります。また、クロスが汚れてきたからとリフォーム依頼した場合も、室内に足場を組まなければいけないためにプラスの費用がかかり高くなってしまいます。リビングを吹き抜けにすることを検討している場合は、日頃の掃除のしやすさやランニングコストも忘れずに確認しておくことをおススメします。
3. 音や臭いが2階にも伝わる
普段の生活の中で実感するデメリットとしては音や臭いという問題があります。音という点は、家族を身近に感じるというメリットの反面、デメリットである部分ともいえます。リビングでの会話が筒抜けになることや、テレビの音が家中に響き、プライベートが確保し辛いと感じる方もおられます。特に生活リズムが違う家族がいる場合は、音が気になるかもしれません。
加えて、1階の臭いが2階にあがってしまうというデメリッもあります。料理の臭いが2階に広がってしまい、寝室や洗濯物に臭いがついてしまうというケースもあります。
4. 耐震性が劣る
地震大国でもある日本において、特に意識されている耐震性が劣るというデメリットは見過ごせない点かもしれません。柱や壁、床はそれぞれ耐震性度に影響を及ぼしているため、吹き抜けのない家に比べて、吹き抜けのある家は耐震性が劣ってしまいます。吹き抜けの空間が広ければ広いほど、耐震性は低下するので補強が必要となります。吹き抜けを作る場合と、部屋の場合の強度の違いなどを確認してみましょう。
吹き抜けを塞ぐリフォームは可能!?
ここまで、リビングを吹き抜けにするメリットとデメリットを見てきましたが、既にデメリットを感じリビングの吹き抜け部分を塞ぎたいと考えておられる方もいらっしゃるのではないでしょうか?吹き抜けを塞ぐことは可能なのでしょうか?リフォーム工事によって塞ぐことが可能です。その方法として、大きくわけて下記の3つの方法があります。
吹き抜けを塞ぐ方法
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リフォーム内容
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パネルやシェードで吹き抜けを仕切る
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ポリカーボネートを吹き抜け部分にはめ込むか、開閉可能なシェードを取り付ける方法です。吹き抜けを完全に無くしてしまうわけではないので、開放感が保たれたうえで時期や時間に合わせて、取り外しや開閉ができます。完全に塞ぐことなく冷暖房の効率を上げ、光熱費の調整も可能になり、工事費の相場も6帖で3~10万円と安価に出来るリフォームです。
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床を貼る
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吹き抜け部分に梁を追加して、1階の天井、2階の床を貼ることによって吹き抜けを塞ぐ方法です。費用を抑えるためにも新たにできた2階の空間は廊下からオープンのままにしておきます。その場合でも照明や空調設備の移動や新設工事が必要となるかもしれません。工事費用の相場は6帖で30~60万円です。
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床を貼って部屋を作る
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吹き抜け部分に梁を追加して、1階の天井、2階の床を貼り、2階部分に廊下との間仕切り壁やドアを設け部屋を作る方法です。照明や空調設備の新設に加え、新たに壁を設けるため、室内のクロスを張り替えの必要や、窓を取り替える必要があるかもしれず、費用は150~200万円と高額になります。
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以上の方法がありますが、リビングの場合は吹き抜け部分が広いので全てを塞ごうと考える必要はないかもしれません。吹き抜けを部分的に塞ぐように天井を設け、残り部分は今まで通り吹き抜けとして残すことも可能です。
リフォームを業者に依頼する際には、塞ぎたいと伝えて、その通り工事を行ってもらうよりも、どんな方法があり、自分の家にどの方法が適しているのか、しっかり提案をしてくれる業者を選びましょう。リフォーム方法によって費用も異なりますし、吹き抜けのメリット部分を残しつつデメリットを軽減すことも可能かもしれません。
吹き抜けを塞ぐリフォームの注意点
★部屋にするのに申請が必要!?
吹き抜け部分に床を貼って塞ぐリフォームを行う場合には注意が必要です。実は、吹き抜け部分に床を貼って床面積が増えることは増築になります。増築を行う場合、建築基準法という法律によって、10㎡の面積を超える建築工事、増築に関しては役所への届け出が必要で、さらに許可を得られた場合にのみ工事を行えることになっています。仮に、10㎡を超える増築にも関わらず、申請なしで勝手に建ててしまうなら、建築基準法を違反したことになり、場合によっては、取り壊し対象となる可能性もあります。10㎡とは畳6帖半ぐらいの広さです。玄関ホールサイズの吹き抜けを無くして部屋にする場合であれば、10㎡を超えることはないかもしれませんがリビングの場合は10㎡を超えているケースは少なくありません。そのため、リビングの吹き抜けを部屋にするという増築工事のために、役所への申請が必要にならないか、しっかり確認しておきましょう。
★吹き抜け部分を部屋に出来ない!?
確認申請以前に床を貼ることが出来ないという場合もあります。なぜなら、上記でもふれた通り、吹き抜け部分に床を貼るということは増築になるので、その増築によって各土地に定められている容積率の延べ床面積を超えてしまう可能性もあるからです。吹き抜けだった時は、含められていなかった延べ床面積が、床を貼る事で含められます。既に延べ床面積ギリギリで建てた家であれば、吹き抜けに床を貼って塞ぐことで容積率をオーバーしてしまい増築することは出来ません。
加えて、耐震性も考えなければいけません。新築時に構造計算を行い、ベストな耐震性能になっているはずです。リフォームによって、荷重などバランスが変わってしまい耐震性を著しく欠いてしまうのであれば、部屋にすることは諦めるべきかもしれません。構造計算を行い、耐震性を確認しておきましょう。
まとめ
吹き抜けのあるリビングは人気がありますが、下記のようにメリットだけでなくデメリットもあることを把握しておきましょう。
メリット
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抜群の開放感:視覚的に広く見え開放的になる。
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自然の照明と自然の換気:大きく高い位置にある窓から自然光が入り空気の流れもある。
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家族の距離を近くする:吹き抜けによって上下階の部屋が繋がり、家族の動きが把握できる。
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デメリット
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冷暖房の効率の悪さ:広い空間、自然光や空気の流れによって冷暖房の効きが低下する。
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掃除やメンテナンスが大変で費用もかかる:高い位置の掃除は業者に依頼する場合もある。
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音や臭いが2階にも伝わる:音や臭いを遮断出来ずプライベート空間を確保できない。
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耐震性が劣る:強度を上げる柱・壁・床が少ない分、耐震性が低下する。
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新築を考えておられる方は、これらメリットとデメリットをよく比較して吹き抜けにすべきかを検討出来ますが、既に吹き抜けの場合で、デメリットを軽減したいと思っておられる方は下記の方法を検討できます。
吹き抜けを塞ぐ方法
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リフォーム内容
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費用の相場(6帖)
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パネルやシェードで吹き抜けを仕切る
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ポリカーボネートを吹き抜け部分にはめ込むか、開閉可能なシェードを取り付ける。
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3~10万円
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床を貼る
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吹き抜け部分に梁を追加して、1階の天井、2階の床を貼ることによって吹き抜けを塞ぎ、2階はオープンな空間にしておく。
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30~60万円
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床を貼って部屋を作る
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吹き抜け部分に床を貼り部屋として使えるよう間仕切り壁やドアを設置する。
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150~200万円
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吹き抜けのデメリットはリフォームによって解決できます。吹き抜けリビングのメリットを最大限に生かしつつも、デメリットを出来るだけ無くすために、数社から相見積もりをとって、どんな方法でリフォームするべきか、デザイン性や耐震性、リフォーム費用だけでなくランニングコストもよく比較して考えられるような提案をしてくれるリフォーム業者に依頼しましょう。